maintenance納品前整備
入庫から納品まで
─ 点検作業の流れ ─
step #1:pre-inspection
仕入先から当社に入庫した車は、まず外観・インテリアの点検とチェックシートによる約45項目の基本点検を行います。その後、市街地と高速道路のテストドライブを行い、始動時・走行時の車の状態をチェックします。これらの情報は在庫車の車輌状態としてファイルにインプットされます。
↓
step #2:confirmation
契約が確定したら、お客様のご要望とチェックシートの内容を確認しながらもう一度試乗し、車輌状態を確認します。
↓
step #3:work by mechanic
このチェックシートの内容と試乗の印象を口頭で伝えて、専属のメカニックに車を渡します。メカニックはPITに車を持ち帰り、私たちがチェックした不具合の修正とプロとしての点検・整備を行います。車検を受けてお渡しする車は車検の点検・分解整備(法定24ヶ月点検)、車検がついている車は定期点検・分解整備(法定12ヶ月点検)を実施します。
当社規定の8項目の消耗部品(エンジンオイル・オイルフィルター/エアクリーナー・エレメント/ベルト類/ブレーキパッド/バッテリー/スパークプラグ/クーラント・サーモスタット/ワイパーブレードゴム)は、この段階で交換することになります。
↓
step #4:re-confirmation
工場から帰ってきた車をチェックシートの不具合項目を中心に、実際に分解点検・整備を行ったメカニックからも、個々の不具合の状態や全体的な印象を聞きながら最終点検をします。もしここまでで直っていない不具合や新たなエラーが見つかれば、もちろんここで修正されます。
↓
step #5:delivery of vehicle
フロアマットのない車や汚れのひどい車は新しいフロアマットを敷き、スペアキーのない車は作成します。できるだけ新鮮な気持ちで乗っていただけるように、仕上がった車をもう一度清掃し、コーティング・ワックスをかけなおして納車準備完了です。
納品前のメンテナンス
─ 消耗部品の交換 ─
買っていただいたお車を快適にお乗りいただくために、また今後のメンテナンスの目安にしていただくためにも、下記の8項目の消耗パーツは、お客様への納車の前に、必ず新品に交換させていただいております。
parts #1:エンジンオイル・オイルフィルター
エンジンオイルのケアは、メンテナンスの原点です。
交換前にしっかりとフラッシングをしてエンジン内の汚れを落とし、オイルフィルター(オイルをろ過するものです)を交換しフレッシュなオイル(SJグレード・10-40W)を注入します。
エンジンオイルの交換は、当社では3000 – 5000km毎をお奨めしています。
parts #2:エアクリーナー・エレメント
エンジンの燃焼効率をよくするためにも、きれいな空気はかかせません。エアクリーナー・エレメント(フィルター)はエンジンにキレイな空気を供給するために、吸入した空気をろ過する役目を果たします。
これが詰ってしまうと、適正な空気が流れなくなり、エンジンの調子が悪くなってしまいます。5000kmごとの清掃、15000kmごとの交換をお奨めします。
parts #3:ファンベルト(類)
ベルトは、エンジンの駆動力を、冷却ファンやエアコンのコンプレッサー、パワーステアリング、オルタネーター(発電機)、ウオーターポンプといった補機類に伝えるための重要なパーツです。
ベルトに劣化やたるみがあれば、これらの装置はうまく作動せず、いくらエンジンやミッションが調子よくても車は走りません。通常はゴム製で、断面がV字型をしているので、Vベルトとも呼ばれます。当社では15000kmを次回の交換の目安としています。
parts #4:ブレーキパッド
ブレーキパッドは、代表的な消耗パーツで、これがしっかりしていないと安心して車に乗ることはできません。国産車のばあいブレーキは止まるための装置という考え方ですが、ヨーロッパの車では、スピードコントロールに主眼が置かれています。つまり、ペダルを踏んだ分だけブレーキが効くようにという考え方です。
そのため、国産車よりもパッドの消耗が早く、当社では20000kmくらいを交換の目安にしています。ブレーキパッドの交換と同時に、ブレーキフルードやディスクローターの点検も行います。
parts #5:バッテリー
最近の車は、ほとんどのシステムがコンピュータ制御されており、電力消費量が大きいですから、バッテリーの劣化も早いように思います。
バッテリーを納車前に新品にしておけば、ライトの消し忘れなどのミスがない限り、急にエンジンがかからないといったトラブルの不安からは解消されます。寿命的には通常の使用状態で2年くらいでしょう。
parts #6:スパークプラグ
燃料を効率よくシリンダー内で燃焼させるために「きれいな」火花はかかせまん。ピストンによって圧縮された混合気に点火して爆発させるのがスパークプラグの役割です。
これが劣化すると、きれいな爆発ができなくなり、エンジンが吹かない、回転がバラつくといったようなトラブルが発生してしまいます。カーボンで汚れたプラグはエンジン不調の始まりです。
parts #7:クーラント・サーモスタット
エンジンの冷却は自動車の最大の弱点ではないかと思います。水冷エンジンの場合このクーラント(冷却液)が、エンジン冷却の生命線です。 冷却液が足りなかったり、汚れていたり すると冷却能力が低下し、オーバーヒートの原因になります。また、サーモスタットは、冷却液の温度を感知して、液量をコントロールする装置ですから、念のためこのパーツも交換します。
冷却系の問題はエンジンの破壊につながりますから、要注意項目なんですが、とりあえずこの2点を交換しておけばかなり安心度が高まるのではないかと思います。もちろんこの段階でラジエターやホースからの水漏れも点検することになります。
parts #8:ワイパーブレードラバー
拭き取りの悪いワイパーはとても気分の悪いものです。雨の日を快適に過ごしていただくために、またウインド・ウォッシングを気持ちよく行っていただくために、前後ともワイパーのゴムを交換します。
parts #9:タイミングベルトについて
タイミングベルトは、吸気バルブを開閉するカムシャフトとクランクシャフトをつないでいる歯付ベルトで、バルブタイミングを制御するたいへん重要な役割をもったパーツです。ほとんどの場合グラスファイバーの芯線にゴムがかぶせられたものが使われています。
走行中にこのベルトが破損すると、バルブシステムが作動しなくなり、エンジンが停止し、走行不能になってしまいます。最悪の場合シリンダー内でピストンとバルブが干渉しあって、エンジン自体に深刻なダメージを受けてしまうことになります。
このベルトは、タイミングケースと呼ばれるカバーに覆われていて、外部からはほとんど見えませんし、”兆候”なしに破損してしまうパーツですから走行距離を目安に交換していくしかありません。
たとえばボルボならディーラーの推奨は6万kmまたは4年毎ということになっていますが、当社では交換記録のない車は、基本的にすべて交換することにしています。また交換記録があっても前回の交換から2年または2万km以上経過している車もすべて交換して納車しています。
保証をつけて販売している商品ですから、保証期間中にタイミングベルトが切れてエンジンを載せ換える負担のことを考えると、納車前に手当てしておくほうが、お客様もそして私たちも安心できるからです。
parts #10:ATFについて
オートマチックトランスミッション-ATは、非常に複雑な機構をもった部品で、細かい油圧の経路を縦横にめぐらせて、変速のシステムをコントロールしています。
ATF(オートマチック・トランスミッション・フルード)はこの油圧を伝達する役目を持つ液体で、もちろんできるだけフレッシュなほうが効率は良いわけですから、たとえばボルボであれば大体3-4万kmごとに交換(ボルボの推奨は6万kmまたは4年毎ということなんですが・・・)するのが、適切とされています。
ATFの交換は普通、循環式という方法で行います。フルードを何回もATの中を循環させることによって、ミッション内の汚れを落としてからフレッシュなATFを注入するわけです。
このATFの交換に関しては、新車から定期的に交換されている車であれば全く問題ないのですが、中古車の場合(特に6万kmを超えるもの)、記録のないことも多いですし、いままで全く交換していない車も多いのが現状です。
このような車の場合、循環式で交換しても、スラッジという細かい鉄粉のゴミが、ATの複雑な油圧経路から完全に抜け切れず、また流れの中でそのスラッジが動くことによって、交換前よりも調子が悪くなってしまうことが多々あります。
これに関しては諸説ありますが、当社では、試乗テストにおいて変速時のシフトショックなど、AT異常が認められない場合には、上記の判断に基づきATFの交換はあえていたしておりません。
「悪くないところは触らない」というのは、ある意味中古車取扱の鉄則でもあるからです。